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予算書の作り方  by 松川幸弘


@前段…
 
「予算」という言葉は営利企業に馴染まないと考えるが、ここではあえて「予算」という言葉を使う。 本来ならば、「経営目標」、「経営計画」といった言葉が良い。

A予算作成の2法…
予算の作り方には、トップダウンの「分配型」とボトムアップの「積上型」があるが、 トップダウンの「分配型」を優れた方法としたい。 前者には、社長の「意図」が明確にされており、また、責任の所在も明確だからである。 後者は、一見詳細な予算が作成され、良さそうな気がするが、出来上がったものに会社を左右するパワーが存在しない。

B具体的方法…

トップダウンの「分配型」でも、特に「社長のほしい利益」、又は「どうしても必要な利益」を最初に設定する方法が良い。 そして、そこから、売上までを損益計算書を下から上に逆算するのである。 これで全てである。 レポート用紙一枚あれば作成できる。 最初に税引前利益を設定すれば、売上高を計算するより早く、税額が計算できる。 そしてそれが社長の頭に入る。 税理士事務所にとってこんなありがたい方法はないし、また、簡便であり、その意味でも社長の頭に入りやすい。 社長の頭に入るということは、社長の「意図」となることであり、これで、計画の実現性もぐっとアップする。

C作成上の留意点…

(1)目標利益は、中小企業であれば、従事員一人当たり百万円でどうだろうか。 基準として的外れな数値ではないはずである。 あとは、社長の好みで決めれば良い。
(2)借入元本の年間返済額を利益の上乗せ項目とする。
(3)逆に、年間減価償却額を利益のマイナス項目とする。
(4)販売費及び一般管理費の項目では、 人件費計画、固定資産投資計画の二つを聞き取り、その数値を反映させる。 それ以外は前年と同じ、または、数%の増減で良い。 社長の方に特に気になる勘定科目があればそれを聞き取り調整を加える。
(5)以上の手順で必要粗利益が算出される。
(6)以降、必要粗利益を確保するための売上高を決定する訳だが、ここが一番重要である。 [販売量×利益率=粗利益]の算式を頭に入れながら、 商品別、商品群別、部門別、地区別、販売員別等々の視点より売上高を決定する。(売上高の商品別等への展開は、社長の仕事である。そこまでのお膳立て、社長の意識を持っていくのが我々の仕事である。) 矛盾点があるのなら何回でもやり直しをする。 また、売上高の確保が難しいのならもう一度、必要利益額、費用額、各種計画の見直しをする。 そして、矛盾点が無くなるまで繰り返す。 なお、シミュレーションをするにあたり、売上原価までの費用はすべて変動費、それ以降の費用はすべて固定費として考えて差し支えない。 

D作成後の留意点…
(1)月別展開は、季節指数を考慮することも良いが、資金繰りではないし、予実対比をした場合に、未達成額の割合を直感的に把握するためには、月均等配分とするのが優れている。 季節指数は予算書ではなく、社長の頭の中で調整するものである。 何故なら、予算書は経営の為の道具であり、活用が容易なことが一番重要であり、実績数値との乖離があってもそれが予測済みの事項であれば、それは全く問題ないからだ。 書式上の優美さは無意味である。
(2) 部門展開は、(1)と同じく、社長が直感的に事態を把握するために簡便な方法が良い。 ごく単純に人員割が一番優れていると考える。 いたずらに調整事項を設けても、やはり、書式上の優美さを求めたにすぎない結果になるからだ。 ただし、この結果を直接、従業員の給与、賞与に反映させると、当然不平、不満が出る。  評価の一部として利用することは良いが、ダイレクトにリンクするものだと考えないほうが良い。

E後段…
やはり、「予算」という言葉は、適切ではない。あくまで「計画」であり、「意図」である。

 


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